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エビデンスレベル: E3(公的機関/コーチ資格テキスト) EP-L019 Common RACE ALL

大会当日ガイド:公式ウォームアップの安全ルール・違反の見方・映像判定入門

結論

大会当日のトラブルの多くは「知らなかった」が原因です。OPINION ウォームアップの安全ルール、審判が見る違反パターン、映像判定の仕組み — この3つを事前に押さえておけば、当日の不安は大幅に減ります。そして何より、最終ルールは「大会要項」+「審判の指示」 です。OPINION


1. 公式ウォームアップの安全ルール

World AquaticsのWarm-Up Guidelines(50m/25m)では、事故防止のための運用が明確に示されています。

1-1. 終了45分前までは「サークルスイムのみ」

  • 50m・25mともに、大会プールの全レーンはサークルスイムのみ(終了45分前まで)。FACT
  • サークルスイムは 反時計回り(anti-clockwise)
  • サークルスイムのレーンは 飛び込み禁止で、入水は 足から(feet first)

1-2. 飛び込み・背泳ぎスタートの扱い

  • 50mのガイドでは、終了45分前まで「飛び込み/背泳ぎスタート」全面禁止FACT
  • 45分前以降も 指定されたレーンのみで実施。
  • 25mのガイドでも同様に、終了45分前まで飛び込み全面禁止、以降は指定レーンのみ。

1-3. 用具の制限

  • 大会プールで使用できる用具は 「キックボード or プルブイ」のみ と明記されています。FACT
  • パドル、フィン、ゴムバンド、パラシュート等は不可。

当日チェックリスト

選手・保護者(入水前)

  • サークルスイムの向き(反時計回り)を確認
  • 飛び込み・背泳ぎスタートが いつ/どのレーンでOKか 確認
  • 大会プールで使う用具は キック板 or プルブイのみ(基本)
  • レーンの「No entry」「Pace lane」など表示を確認

コーチ(チーム全体)

  • 45分前を境に「運用が変わる」ことを周知
  • 指定レーンでのスタート練習は 順番・待機位置 を決める
  • 事故時の連絡先(救護・大会本部)を事前に共有

2. 審判が見る違反の見方(Reference Card)

World Aquaticsの Swimming Reference Card(違反早見表) は、審判が違反を記録するための索引です。選手・指導者にとっては「DQの地雷マップ」になります。

2-1. カードの構造

カテゴリ → 代表的違反 → ルール番号で整理されています。FACT

  • THE START(フライング等)
  • FREESTYLE / BACKSTROKE / BREASTSTROKE / BUTTERFLY(泳法別)
  • MEDLEY(順番・自由形区間の定義)
  • THE RACE(レーン逸脱、距離未完了、リレー交代など)

2-2. 最短でDQを減らす読み方(3ステップ)

  1. 自分の泳法の欄だけ見る(例:平泳ぎならBREASTSTROKE)
  2. 頻出の違反を3つだけ暗記(例:平泳ぎなら「両手タッチ」「1かき1けり」「ドルフィンは1回まで」)
  3. 練習で 「確認ポイント」 を作る(例:ターンで両手セット、など)

3. 映像判定(Video Judging)の仕組み

World Aquaticsの Video Judgingガイド(2025年版) では、映像の役割が整理されています。

3-1. 何のために使う?

  • リレー交代の違反 の確認(高速度カメラで足が離れる瞬間とタッチの瞬間を確認)FACT
  • フライング(早いスタート) の確認
  • 計時のトラブル(soft touch等) の補助
  • デッキ審判の違反報告を「確認/覆す」(confirm or overturn)

3-2. 結果の4パターン

映像レビューの結果は概ね次の4つです。FACT

  • Disqualification CONFIRMED(失格を確認)
  • Disqualification OVERTURNED(失格を覆す)
  • NO VIDEO AVAILABLE(映像なし)
  • VIDEO INCONCLUSIVE(決定的に言えない)

FAQ

ウォームアップでパドルやフィンを使っていい?

A. 大会プールでは原則NG です。キック板/プルブイのみ、という運用がガイドに明記されています。FACT ただし大会要項で別途ルールがあることもあるので、必ず確認してください。

45分前を過ぎたら、どこでも飛び込んでいい?

A. 指定レーンのみ です。サークルスイムレーンでの飛び込みはNGです。レーン図・場内掲示・係員の指示に従ってください。

映像判定があったら、選手は何を気をつける?

A. まず「止まらず泳ぎ切る」 のが鉄則です。DQが出そうでも、自己判断で止まると「距離未完了」等の別リスクが増えます。


出典一覧

  1. World Aquatics — Swimming Documents(公式文書一覧)https://www.worldaquatics.com/swimming/documents
  2. World Aquatics — Warm-Up Guidelines 50m(Version 26 July 2025)https://resources.fina.org/fina/document/2026/01/22/24fc10e5-616a-4195-8987-fd0402e34f4f/Warm-Up-Guidelines-10-lane-Long-Course_26072025.pdf
  3. World Aquatics — Warm-Up Guidelines 25m(Version 9 Oct 2025)https://resources.fina.org/fina/document/2026/01/22/0c758194-0fe2-445d-929c-2d803d52e567/Warm-Up-Guidelines-10-lane-Short-Course_09102025.pdf
  4. World Aquatics — Swimming Reference Card(Version 18 Feb 2026)https://resources.fina.org/fina/document/2026/02/25/0fb17b7e-d5ff-4bbd-89ee-7580eda0b11c/Swimming-Reference-Card-18.02.2026.pdf
  5. World Aquatics — Guidelines for the Use of Video Judging in Swimming Competitions(Jan 2025)https://resources.fina.org/fina/document/2025/02/27/3d3bdc10-3164-484e-8887-08376bb3178b/Guidelines-for-the-Use-of-Video-Judging-in-Swimming-Competitions_01.2025.pdf