25mが泳げない原因と直し方|水慣れ・浮く感覚・キックを段階で身につける
|
水中で息を吐く
よくあるつまずき
息を止めがちな人は、声に出して「ンー」と言うと吐きやすくなります。
力を抜いて浮く
よくあるつまずき
足で底を蹴ると浮きません。壁だけ持って待ちます。
ビート板キックで進む
よくあるつまずき
水しぶきが大きいのは力みすぎのサイン。足首をやわらかく保ちます。
3ステップができたら、標準モードで原因を詳しく確認してみましょう。
25m泳げない原因を切り分ける
※以下の順番は重要度の順位ではありません。複数が重なって泳げないことが多いです。
- 水中で息が吐けない — 顔を上げたとき「吸う」が間に合わない
- 体が力んで沈む — 怖い → 力む → 沈む の悪循環
- キックで前に進めない — 膝を大きく曲げる「自転車キック」は膝が下がって抵抗が増え、前に進みにくい
息継ぎが苦しいならクロールの息継ぎが苦しい原因と直し方もあわせて確認すると、原因1の理解が深まります。
3ステップで25mを目指す
ステップ1:水慣れ(壁につかまったまま)
ボビング(浮き沈み)
- 壁につかまって息を吸い、顔を水につける
- 鼻から「ンー」と吐きながら沈む
- 底を蹴って浮き上がり、口で「パッ」と吸う
- だいたい10回×3セットを目安に
伏し浮き
- 壁を両手で持ち、顔を水につけて体を浮かせる
- 力を抜いて5秒ほど浮く(立てる深さの浅いプールで)
ステップ2:壁キック → 板キック
- 壁を持って体を水平にし、股関節から小さくキック
- 板キックで12.5m(片道)を目標に
ステップ3:片手クロール → 25mクロール
- 片手を前に伸ばし、もう片方だけでストローク
- 12.5mずつ左右入れ替える
- 安定したら両手のクロールへ
よくある勘違い
- 「腕をたくさん回せば進む」 → 速く回すより、1回で大きく進むほうが大事
- 「キックを強くすれば浮く」 → 頭を下げて体を水平にするのが先
- 「泳ぐのは才能」 → 段階的に進めれば泳げるようになるケースが多い
関連記事
- クロールの息継ぎが苦しい原因と直し方 — 水中で息を吐ききるのが25m完泳の土台。あわせて確認を
- クロールで足が沈む3つの原因と直し方 — 足が沈むのは頭の位置から。25mが続かない一因
- クロールを速くする科学 — 25mが泳げたら、泳ぎ全体の最適化へ
- キックは推進力か姿勢維持か — キックの役割をさらに詳しく
FAQ
Q. 大人でも25m泳げるようになりますか?
はい。水慣れから段階的に進めれば年齢に関係なく泳げるようになります。
Q. どのくらいの期間で泳げるようになりますか?
個人差がありますが、週2回の練習でだいたい1〜3か月が目安です。
Q. 足が沈んでしまいます
頭の位置が高いことが一因です。水面の少し下に目線を向けてみてください。詳しくはクロールで足が沈む3つの原因と直し方へ。
Q. 息継ぎで水を飲んでしまいます
水中で息を吐ききれていないことが多いです。ボビングで「ンー → パッ」のリズムを練習しましょう。詳しくはクロールの息継ぎが苦しい原因と直し方へ。
結論:25m泳げない人がまず直すのは「水慣れ」と「浮く感覚」
25mが泳げない主な原因の一つは、水中で力みすぎて体が沈むことです。泳ぎのフォームを直す前に、水に浮く感覚と水中で息を吐く習慣を身につけることが先決です。なお「これが最大の原因」と順位づけする定量的な裏付けは現時点で確認できていないため、本記事では「主な原因の一つ」として整理します。
この記事では、水慣れ → 壁キック → 板キック → 片手クロールの3ステップで25mを目指す進め方を紹介します。
25m泳げない原因を切り分ける
※以下の順番は重要度の順位ではありません。複数の要因が重なって泳げないことが多いため、結論で述べたとおり「主な原因の一つ」として捉えてください。
1. 水中で息が吐けない
FACT クロールでは、口が水中にある間は息を吐き続け、水面に出たときに吸うのが基本です。水中で鼻や口から息を吐き続けること(バブリング)ができないと、顔を上げたときに「吸う」動作が間に合いません。陸上では無意識に呼吸できますが、水中では「意識して吐く → 顔を上げて吸う」という切り替えが必要です。
息を止めると、血液の中に二酸化炭素がたまっていきます。この二酸化炭素の増加が「息をしたい」という感覚の主なきっかけになるため、息を止めたままだと早く苦しくなります。だからこそ、水中では息を止めずに吐き続けることが大切です。
OPINION 25mが苦しくなる一因は、水中で息を吐ききれず、次に顔を上げたときの吸う量が足りなくなることだとされています。「水中で吐けないと吸えない」という関係は、クロールの息継ぎが苦しい原因と直し方と共通の核です。あわせて確認すると理解が深まります。
2. 体が力んで沈む
FACT 息を吸って肺に空気が入ると、体の体積が増えて密度が下がり、浮きやすくなります。反対に息を吐くと密度が上がって沈みやすくなります(アルキメデスの原理にもとづく浮力の仕組み)。まずは息を吸って、全身の力を抜いて浮く感覚をつかみましょう。
OPINION 初心者が泳げない理由として多いのは「沈むのが怖くて力む → 体が硬くなる → よけいに沈む」という悪循環です。指導現場では、全身の力を抜くと水平で楽な姿勢を保ちやすく、浮く感覚をつかみやすいとされています。力を抜いて浮く体験をすることで、この悪循環を断ち切りやすくなります。
3. キックで前に進めない
OPINION 膝を大きく曲げて水を蹴る「自転車キック」は、膝が下がって水の抵抗が増え、前に進みにくくなるとされています。効率的なキックは股関節から始まり、膝・足首と順に動いて脚全体がしなる動きです。振れ幅は体の幅に収まる小さなキックで十分です。
FACT そもそも、クロールのキックが推進力にどれだけ寄与するかは研究間で矛盾があり、まだ未解決の研究課題です。FACT 一方でキックは、前に進む推進力だけでなく、体の姿勢維持(水平バランス)にも寄与することが査読論文で確認されています。キックは体幹にかかる圧力抵抗を軽減し、同じ速度をより少ない手の力で維持できるようにします。そしてこの抵抗軽減の効果は、ゆっくり泳ぐ低速時に特に顕著だと報告されています。つまり、ゆっくり泳ぐ初心者にとって、キックは「足を上げて姿勢を保つ」役割が大きいということです。キックの役割をさらに詳しく知りたい場合は、キックは推進力か姿勢維持かを参照してください。
3ステップで25mを目指す
ステップ1:水慣れ(プールの壁につかまったまま)
まずプールサイドの壁につかまった状態で、以下を練習します。
ボビング(浮き沈み)
- 壁につかまって立つ
- 息を吸って顔を水につける
- 鼻から「ンー」と息を吐きながら沈む
- 底を蹴って浮き上がり、口で「パッ」と吸う
- これをだいたい10回×3セットを目安に
OPINION ボビングは「水中で吐く → 水上で吸う」のリズムを体に覚えさせる、最も基本的な練習だとされています。焦らずゆっくり行いましょう。
伏し浮き
- 壁を両手で持ち、顔を水につけて体を浮かせる
- 力を抜いて5秒ほど浮く
- 背中が水面に出る感覚を確認する
伏し浮きや脱力など、水中で力を抜く練習は、必ず立てる深さの浅いプールで行ってください。
FACT 先に述べたとおり、人間の体は息を吸った状態なら水に浮きやすくなります。まずは息を吸って、全身の力を抜くことを意識してください。
ステップ2:壁キック → 板キック
壁キック
- 壁を両手で持ったまま、体を水平にする
- 脚を伸ばして、股関節から小さくキックする
- 膝はほとんど曲げず、足首を柔らかくしならせる
- 水しぶきが大きく上がるのは力の入れすぎ
板キック(ビート板キック)
- ビート板の先端を両手で持つ
- 顔を水につけて、ステップ1で覚えたキックで進む
- 息が苦しくなったら顔を上げて呼吸する
- まずは12.5m(片道)を目標にする
OPINION 板キックで12.5m進めるようになれば、次のステップに進む土台ができています。ここまで来たら片手クロールに移りましょう。
ステップ3:片手クロール → 25mクロール
片手クロール
- 右手は前に伸ばしたまま、左手だけでストロークする
- 左手をかいたら、体をローリング(左右の回転)して右側で呼吸する
- 12.5mずつ左右を入れ替える
- 慣れたら両手交互のクロールに移行する
片手クロールは、ストロークと呼吸の連動を1つずつ確認できる練習です。焦って両手のクロールに移行するよりも、片手で安定した動きを作ってから進むほうが取り組みやすくなります。
FACT クロールのローリング(体の左右回転)は、ストロークの推進力向上と呼吸のしやすさに寄与します。片手をかくタイミングで体を回し、その回転に合わせて顔を横に向けると、無理なく呼吸できます。
よくある勘違い
「腕をたくさん回せば進む」は間違い
FACT 水泳の速さは「1回で進む距離(ストローク長)× 腕を回す回数(ストローク頻度)」という基本関係で決まります。腕を速く回しても、1回で進む距離が短ければ速くなりません。FACT また、クロールでは腕の動作が主要な推進力源であることは研究間で一致しています。初心者はまず「ゆっくり大きく」ストロークすることを意識しましょう。
「キックを強く蹴れば浮く」は間違い
FACT 前述のとおり、キックの推進力への寄与は研究間で矛盾があり、「キックを強くすれば浮く・速くなる」とは単純に言えません。OPINION 足が沈むのはキックが弱いからではなく、頭の位置が高すぎるか体幹が抜けているためだとされています。キックを強くする前に、頭を下げて体を水平にすることを試してください。詳しくはクロールで足が沈む3つの原因と直し方へ。
「泳ぐのは才能」は間違い
OPINION 25m泳げるようになるのに才能は不要だと考えられます。水慣れ → キック → ストロークの順番で、段階的に練習すれば泳げるようになるケースが多いです。ただし、無理をせず安全な環境で練習することが大前提です。
家庭や教室でのチェックポイント
保護者が見るポイント
- [ ] 水に顔をつけるのを怖がっていないか
- [ ] ボビングで水中で息を吐けているか
- [ ] 伏し浮きで力が抜けているか
- [ ] キックが「自転車漕ぎ」になっていないか
- [ ] 無理なく楽しめているか
教室を選ぶときのポイント
- [ ] 水慣れの段階を丁寧に進める教室か
- [ ] 1クラスの人数が多すぎないか(目安として8人以下だと目が届きやすい)
- [ ] 子どものペースに合わせてくれるか
- [ ] 見学ができるか
(人数などの数値はあくまで目安で、教室の方針や指導体制によって適切な範囲は変わります。)
安全上の注意
練習は必ず安全な環境で行ってください。
- 監視員がいるプールで練習すること。1人では行わないこと
- 伏し浮きや脱力など、水中で力を抜く練習は、必ず立てる深さの浅いプールで行うこと
- ボビングや息を吐く練習をするときも、潜水前の過呼吸(深呼吸の繰り返し)や、長時間の水中での息こらえはしないこと。CDC・米国赤十字・USA Swimming などの公的機関は、これらが意識を失って溺れる危険(ハイポキシック・ブラックアウト/浅水域での失神)につながると指摘しています
- 子どもは保護者の目の届く範囲で泳ぐこと
- 体調が悪いときは無理をしないこと。耳や鼻に痛みを感じたら練習を中止すること
関連記事
- クロールの息継ぎが苦しい原因と直し方 — 水中で息を吐ききるのが25m完泳の土台。あわせて確認を
- クロールで足が沈む3つの原因と直し方 — 足が沈むのは頭の位置から。25mが続かない一因
- クロールを速くする科学 — 25mが泳げたら、泳ぎ全体の最適化へ
- キックは推進力か姿勢維持か — キックの役割をさらに詳しく
FAQ
Q. 大人でも25m泳げるようになりますか?
はい。大人でも水慣れから段階的に進めれば25m泳げるようになります。年齢による体力の違いはありますが、水慣れと姿勢づくりは年齢に関係なく習得できます。
Q. どのくらいの期間で25m泳げるようになりますか?
個人差がありますが、週2回の練習でだいたい1〜3か月が目安です。水慣れに時間がかかる場合はもう少しかかることもあります。焦らず「浮ける → キックで進める → 手をつけて泳げる」の順で進めましょう。
Q. プールに通わなくても練習できますか?
顔に水をつける・口や鼻から息を吐くといったごく初歩の水慣れは、お風呂でも試せます。ただしお風呂でも、子どもは必ず大人がそばで見守り、目を離さないこと。長く息を止めたり、顔を長時間水につけたままにしないこと。少しでも苦しければすぐにやめること。浮く練習やキック・ストロークの練習にはプールが必要で、プールでは監視員のいる施設で、1人にならずに行ってください。公営プールなら1回数百円で利用できることが多いです。
Q. 足が沈んでしまいます。どうすれば?
足が沈む主な原因の一つは頭の位置が高いことです。体はシーソーのように動くため、頭が上がると脚が沈みやすくなります。まず頭を下げて、水面の少し下に目線を向けてみてください。詳しくはクロールで足が沈む3つの原因と直し方で解説しています。
Q. 息継ぎで水を飲んでしまいます
水中で息を吐ききれていない可能性があります。顔を上げる前に「ンー」と鼻から息を吐ききり、顔を上げた瞬間に「パッ」と口で吸う練習をしましょう。ボビングで水中呼吸のリズムを身につけるのが効果的です。詳しくはクロールの息継ぎが苦しい原因と直し方へ。
参考文献・根拠
| # | 種別 | 出典 | DOI | 取得日 | Claim |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 論文(レビュー) | Takagi H. ほか (2021) How do swimmers control their front crawl swimming velocity?(Sports Biomechanics) | 10.1080/14763141.2021.1959946 | 2026-02-18 | CLM-002, CLM-003, CLM-125 |
| 2 | 論文 | Vilas-Boas J.P. (2023) Swimming biomechanics: from the pool to the lab and back(Sports Biomechanics) | 10.1080/14763141.2023.2237003 | 2026-02-18 | CLM-124 |
| 3 | 論文 | Homoto K. ほか (2024) Does the flutter kick increase hand propulsion in front crawl swimming?(Sports Biomechanics) | 10.1080/14763141.2024.2424386 | 2026-03-02 | CLM-003, CLM-125, CLM-132 |
| 4 | 論文 | Kadi T. ほか (2024) Role of kicking action in front crawl(Sports Biomechanics) | 10.1080/14763141.2024.2303361 | 2026-03-02 | CLM-132, CLM-133, CLM-134 |
| 5 | 指導サイト(公的機関) | U.S. Masters Swimming(Andrew Sheaff): Freestyle Breathing | — | 2026-06-03 | CLM-180, CLM-182 |
| 6 | 指導サイト(公的機関) | U.S. Masters Swimming: Freestyle Swimming — The Complete Guide | — | 2026-02-18 | CLM-034 |
| 7 | 公的機関 | CDC(米国疾病予防管理センター): Preventing Drowning | — | 2026-06-03 | CLM-183 |
| 8 | 論文/公的機関 | MMWR / CDC (2015) Fatal and Nonfatal Drowning Outcomes Related to Dangerous Underwater Breath-Holding Behaviors | — | 2026-06-03 | CLM-181, CLM-183 |
| 9 | 医療リファレンス | Cervantes D.; StatPearls Publishing: Shallow Water Blackout | — | 2026-06-03 | CLM-181, CLM-183 |
| 10 | 公的機関(共同声明) | American Red Cross; YMCA of the USA; USA Swimming: Joint Statement on Hypoxic Blackout | — | 2026-06-03 | CLM-183 |
| 11 | 論文(査読) | Watanabe Y. ほか (2017) New evaluation index for the retainability of a swimmer's horizontal posture(PLoS One) | 10.1371/journal.pone.0177368 | 2026-06-03 | CLM-186 |
| 12 | 指導サイト(公的機関) | U.S. Masters Swimming(Emmett Hines): Of Gravity and Air | — | 2026-06-03 | CLM-187 |
| 13 | 論文(査読) | McLean S.P. & Hinrichs R.N. (2000) Influence of arm position and lung volume on the center of buoyancy of competitive swimmers(RQES) | 10.1080/02701367.2000.10608896 | 2026-06-03 | CLM-188 |
| 14 | 指導サイト(公的機関) | U.S. Masters Swimming(Andrew Sheaff): Freestyle Kick — The Complete Guide | — | 2026-06-03 | CLM-190 |