タッチターンで差をつける3つのコツ
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結論
タッチターンは「壁に触って折り返す」だけの動作ではありません。正しいタッチ、素早い回転、力強い壁蹴りの3つを意識するだけで、ターン1回あたり0.5〜1秒の差が生まれます。OPINION 100mレース(25mプール)なら3回、200mなら7回のターンがあるので、合計で数秒の差になり得ます。地味に見えるターン練習こそ、タイムを縮める近道です。
コツ1:両手同時タッチ
平泳ぎとバタフライのターンでは、両手が同時に壁に触れることが競泳ルール上必須です。FACT[^1] 片手だけのタッチや、両手が明らかにずれたタッチは失格の対象になります。
確実に両手を揃えるには
- 壁に近づいたら最後の1ストロークの距離感を意識する。遠すぎると片手が届かず、近すぎると窮屈なタッチになる
- 両手を肩幅程度に開いて壁に向かう。手のひら全体で壁に触れるイメージ
- 壁が近い場合はもう1ストローク入れるか判断する。中途半端な距離で無理に伸ばすと片手タッチになりやすい OPINION
コツ2:体幹を使った高速回転
壁にタッチした瞬間から回転を始めます。OPINION[^2] タッチ後に一呼吸置いてから回転する癖がある人は、ここで大きくタイムをロスしています。
回転を速くするポイント
- タッチと同時に片方の肘を引く。引いた肘の方向に体が回転する
- 膝を胸に引き寄せる(体を畳む)。体が小さくまとまるほど回転が速くなる。フィギュアスケートのスピンと同じ原理
- 頭は回転方向を見る。視線が回転をリードする OPINION
コツ3:壁蹴りの強さと方向
壁を蹴る力が弱いと、浮き上がりの速度が出ません。OPINION[^3] 膝をしっかり曲げてから爆発的に蹴り出すことが大切です。
壁蹴りのコツ
- 膝の角度は100〜120度に曲げる。深く曲げすぎ(90度以下)ても浅すぎ(140度以上)ても力が入りにくい
- 蹴り出す方向はやや斜め下。水面すれすれに蹴ると体が浮きすぎて抵抗が増え、深すぎると浮き上がりに時間がかかる OPINION[^3]
- 蹴り出した瞬間にストリームライン姿勢を作る。壁蹴りの推進力を最大限活かすため、体を一直線に伸ばす
ひとかきひとけりとの連携
平泳ぎのターンでは、壁蹴り後に「ひとかきひとけり」の動作が認められています。この動作をターンの延長として一連の流れにすることで、浮き上がりまでの速度を維持できます。OPINION
- 壁蹴り → ストリームライン → ドルフィンキック1回(ルール上1回のみ) → ひとかき(プルダウン) → ひとけり(平泳ぎキック) → 浮き上がり
- ストリームラインの惰性が残っているうちに動作を始める
- ドルフィンキックはプルダウンの引き始めに合わせて打つ
練習ドリル
タッチターンの3つのコツを身につける練習手順です。
ステップ1. 壁タッチ練習 10回×2セット
プールサイドに立ち、壁に向かって歩きながら両手同時タッチを繰り返します。手のひら全体で壁に触れ、タッチの瞬間に両手が揃っていることを確認してください。水中でも同様に、ゆっくり泳いで壁タッチだけを反復します。
ステップ2. 回転練習(壁なし) 10回×2セット
プールの中央で立ち、水中で体を畳んで回転する練習をします。膝を胸に引きつけ、肘を引いて素早く180度回転します。壁がなくてもスムーズに回転できるようになることが目標です。
ステップ3. 壁蹴りストリームライン 5m×6本
壁に足をつけた状態から、爆発的に蹴り出してストリームライン姿勢で進みます。蹴り出しの方向(角度)を毎回少し変えて、最も速く・遠くまで進める角度を見つけてください。
ステップ4. 通し練習 25m×4本
実際に25mを泳いでターンし、折り返す練習をします。タッチ → 回転 → 壁蹴りの一連の流れをスムーズにつなげることを意識してください。コーチやパートナーにターンタイムを計ってもらうと効果的です。
ステップ5. ひとかきひとけり連携 壁蹴り+10m×4本
壁蹴り後にストリームライン → ひとかき → ひとけり → 浮き上がりの流れを練習します。惰性を活かして、できるだけ速く・遠くまで進むことを目指しましょう。
安全メモ(とても大事)
- 壁蹴りの練習で壁に足を強く打ちつけないよう注意してください
- 回転練習でめまいを感じたらすぐに中止し、プールサイドにつかまりましょう
- 水中での長い息止めは失神・溺水の危険があります。必ず監視のある環境で練習してください
- ターン練習中に他のスイマーと衝突しないよう周囲を確認してから行いましょう
- 膝や肩に痛みが出たらすぐに中止し、コーチや医療の専門家に相談してください
FAQ
タッチターンの競泳ルールを教えてください
平泳ぎとバタフライのターンでは、両手が同時に壁に触れることが必須です。片手タッチや両手の明らかなタイミングのずれは失格になります。なお、クロールと背泳ぎはフリップターン(片手タッチ不要)が一般的ですが、タッチターンを使うことも可能です。
両手同時タッチがうまくできません。コツは?
最後の1ストロークの距離感がポイントです。壁から遠すぎると片手しか届かず、近すぎると窮屈になります。練習では「壁まであと何ストロークか」を数える癖をつけましょう。壁が見えたら残りの距離を判断し、最後のストロークで両手を揃えて壁に向かいます。
回転速度を上げるにはどうすればいいですか?
体を小さくまとめることが最も効果的です。タッチした瞬間に膝を胸に引きつけ、体を畳みます。同時に片方の肘を素早く引くことで回転が始まります。頭は回転方向を見るようにすると、体がスムーズについてきます。陸上で「タック・ジャンプ(膝を抱えてジャンプ)」を練習すると、体を畳む動きが速くなります。
壁蹴りの最適な角度は?
水面から約30〜45度の角度で斜め下方向に蹴り出すのが一般的な目安です。ただし、個人の体格やレースの状況によって異なります。水面すれすれだと波の抵抗を受けやすく、深すぎると浮き上がりに時間がかかります。練習で角度を変えながら、自分にとって最も速く進める角度を見つけてください。
ひとかきひとけりとターンはどう関係しますか?
平泳ぎのターン(およびスタート)後にのみ許されている特別な動作です。壁蹴り後のストリームライン姿勢から、水中で1回の腕かきと1回のドルフィンキックを行い、浮き上がります。ターンの壁蹴りの推進力を活かし、この動作をスムーズにつなげることで、浮き上がりまでの速度を最大化できます。
初心者がタッチターンで気をつけることは?
まずは「両手同時タッチ」と「壁からしっかり蹴り出す」の2点に集中してください。回転速度は後から上がってきます。初心者に多いのは、壁にそっと触れて力なく折り返すパターンです。壁蹴りでしっかり推進力を得ることを意識しましょう。焦って速く回ろうとすると、姿勢が崩れてかえって遅くなります。
マスターズスイマーがターンで注意すべきことは?
3つのポイントがあります。(1) 膝や肩の柔軟性が低下している場合は、無理に速い回転をせず、確実な動作を優先する。(2) 壁蹴りの衝撃で膝を痛めやすいので、膝の角度を浅め(90度以上)に調整する。(3) ターン前後で息が切れやすいので、タッチ前に呼吸を整えておく。年齢に合わせたターン技術の最適化が大切です。
平泳ぎとバタフライのターンに違いはありますか?
基本的な「両手同時タッチ → 回転 → 壁蹴り」の流れは同じです。大きな違いはターン後の動作です。平泳ぎでは「ひとかきひとけり」が認められていますが、バタフライでは認められていません。バタフライのターン後はドルフィンキックのみで浮き上がります。また、バタフライのほうがアプローチの速度が速いため、壁との距離感の調整がより難しくなります。
ターン中に水を飲んでしまいます。対策は?
回転中に口を閉じて鼻から少量の泡を出し続けると、鼻や口から水が入りにくくなります。また、回転を始める前にしっかり息を吸っておくことも大切です。ノーズクリップを使うと鼻からの水の侵入を防げるので、練習中に試してみてください。慣れてくれば自然と水を飲まなくなります。
ターンの練習はどのくらいの頻度でやるべきですか?
毎回の練習の最初または最後に5〜10分、ターン専用の時間を設けるのが理想です。25mを泳ぐたびにターンがあるので、普段の泳ぎ込みの中でもターンを意識する習慣をつけましょう。週に2〜3回ターンに意識を向けるだけでも、1か月後には明らかな改善が見られるはずです。
ターンが遅い原因として多いものは?
最も多い原因は「タッチ後の回転開始が遅い」ことです。壁に触れてから一瞬止まってしまう人が非常に多くいます。次に多いのは「壁蹴りが弱い」こと。膝を十分に曲げずに蹴ると、推進力が不足します。3番目は「壁との距離感が合わない」こと。最後のストロークが中途半端になり、余計な動作が入ってしまいます。
ターンの速さを数値で確認する方法は?
最も簡単な方法は、壁の5m手前から壁の5m先までのタイムを計る「ターンタイム」の測定です。パートナーやコーチに計ってもらうか、プールの5mフラッグを目安にします。このターンタイムを毎回記録して改善度を追跡しましょう。一般的な目標として、マスターズスイマーなら8〜10秒、競泳選手なら6〜8秒が目安です。
出典一覧
- 一流の指導者・トップスイマーの知見に基づく CLM-081, CLM-082, CLM-083
[^1]: 競泳ルール(FINA/World Aquatics 規則)に基づく。CLM-081 FACT
[^2]: 一流の指導者・トップスイマーの知見に基づく。CLM-082 OPINION
[^3]: 一流の指導者・トップスイマーの知見に基づく。CLM-083 OPINION