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エビデンスレベル: E1(メタ分析/系統的レビュー) EP-L013 Common TRAINING ALL

スイマーズショルダー予防:肩が痛くなる前にできること(研究まとめ)

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結論

肩の痛みは同じ動きの繰り返しによる負担の蓄積で起こります。FACT 系統的レビューでは「確実な単一原因」は特定されていませんが、予防の基本は 練習量を急に増やさない・フォームを整える・少数メニューの陸トレを継続する の3つです。痛くなる前の予防が最も効果的です。

※このページは医療の代わりではありません。痛みが強い・長い場合は医療者へ。OPINION


「肩が痛いけど、泳げるから大丈夫」
これが一番危ないです。OPINION

泳ぎは同じ動きを何千回も繰り返すので、肩はどうしても負担が集まりやすいです。FACT
だからこそ、痛くなる前の予防 がいちばん効きます。

まず知っておきたい:スイマーズショルダーとは?

スイマーズショルダーは病名が1つというより、
泳ぐことで肩が痛くなる状態の総称 です。FACT

だから「正解はこれ!」が一つに決まりにくいのが特徴です。OPINION

研究(系統的レビュー)が言っていること

リスク要因は"中くらいの確からしさ"が多い

系統的レビューでは、肩の痛み・ケガのリスク要因をたくさん集めて評価していますが、
確実(高い確からしさ)と言えるものは少ない とされています。FACT

それでも「中くらいの確からしさ」として挙がりやすいのは、

  • 関節のゆるさ・不安定さ
  • 肩の内外旋(回しやすさ)の特徴
  • 過去に痛めた経験
  • 競技レベル(練習量が多い)

などです。FACT

ケガで練習を休む原因としては「フォーム」と「練習量」

別の系統的レビューでは、
フォームが悪いこと練習強度・距離が多いこと が、練習を休む原因として多いとまとめられています。FACT

予防の"基本の考え方"は3つ

1) 練習量は「急に増やさない」

肩は筋肉だけでなく、腱や関節の組織も回復に時間がかかります。FACT
休み明け・大会前後・進級後は特に注意。

2) フォームは「痛みが出にくい形」を優先

強くかくほど、痛みがあるときは悪化しやすいです。OPINION
まずは

  • 肩に力が入っていないか
  • 入水がクロス(顔の前をまたぐ)していないか
  • 体が沈んで腕だけで進んでいないか

をチェック。

3) 陸トレは「少数メニューを続ける」

系統的レビューでは、肩の予防として
水外での少ない種目(5個以下)を継続する強化 が良い方向に働く可能性が示されています。FACT

今日からできる:肩の"予防ルーティン"例(5〜8分)

※痛みがある人は無理をしないでください。

  • ① チューブ外旋(肘を体の横で) 10回×2
  • ② 肩甲骨を寄せる(チューブロー) 10回×2
  • ③ Y字で肩甲骨下制(軽い負荷) 8回×2
  • ④ 胸(大胸筋)を軽く伸ばす 20秒×2
  • ⑤ 仕上げ:肩をすくめず深呼吸 5回

ポイント:"効かせる"より"毎週続ける"

中学生・高校生に刺さるポイント

  • 成長期はフォームが変わりやすいので、痛みのサインが出たら早めに相談。
  • パドルは便利だけど、痛みがある時期は負担が増えることがある。OPINION
  • 「練習量が正義」になりやすい時期ほど、休む勇気が大事。

マスターズ(大人・高齢)に刺さるポイント

  • 回復は若い頃より時間がかかるのが普通。FACT
  • だから、陸トレの"少数メニュー"が効きやすい。
  • 痛みがある日は、スプリントやパドルを減らし、フォームと姿勢を整える日にする。

FAQ

肩が痛い日は泳いでいい?

痛みの強さと続く期間によります。鋭い痛み・夜も痛い・数週間続くなら医療者へ。

パドルは悪い?

悪ではありません。ただし負荷が増えるので、痛みがある時期はリスクが上がります。

予防ルーティンは週何回?

週2回でも意味があります。大事なのは継続です。


出典一覧

  1. Hill, L. et al. (2015). "Risk factors for shoulder pain and injury in swimmers: A critical systematic review." Phys Sportsmed. PMID: 26366502. DOI: 10.1080/00913847.2015.1077097
  2. Gaunt, T. & Maffulli, N. (2012). "Soothing suffering swimmers: a systematic review of musculoskeletal injuries in competitive swimmers." Br Med Bull. PMID: 21893484. DOI: 10.1093/bmb/ldr039
  3. Tavares, N. et al. (2022). "Effectiveness of Therapeutic Exercise in Musculoskeletal Risk Factors Related to Swimmer's Shoulder." Sports (MDPI). PMID: 35735465
  4. Struyf, F. et al. (2017). "Musculoskeletal dysfunctions associated with swimmers' shoulder." Br J Sports Med. PMID: 28189997