ウォームアップで差がつく:速く泳ぐための"ちょうどいい準備"と冷えない工夫
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結論
ウォームアップの目的は「温める」と「動きを整える」の2つだけ。疲れさせるためではありません。研究レビューでは効果は小さめで個人差が大きいとされていますが、特にアップ後の待ち時間で体を冷やさない工夫が重要です。FACT
試合で「体が重い」「最初の25mが動かない」
これ、ウォームアップの問題が多いです。OPINION
でも逆に、アップをやりすぎて「疲れて本番が遅い」もよくあります。OPINION
まず大前提:ウォームアップの目的は2つだけ
1) 体の温度を上げる(筋肉が動きやすくなる)
2) 競技の動きに"つなぐ"(テンポ・呼吸・スタート反応)
「疲れさせる」ためではありません。
研究が言っていること(やさしく要約)
短距離(50〜100m)のウォームアップ
系統的レビューでは、ウォームアップはタイムに影響するものの、
どのやり方が"絶対に正解"かは、まだはっきりしない とされています。FACT
その上で、アップはきつさ(RPE)や乳酸にも影響しうるので、
"やりすぎない設計"が重要です。FACT
200m以上のウォームアップ
別のレビューでは、特に 200mより長い種目でプラスになりやすい という傾向が示されています。FACT
さらに「おすすめ」として
- 1000〜1500mくらいの中くらいの距離
- 少しだけレースペースに近い刺激
- アップ後の休憩は 8〜20分
という提案もあります。FACT
レース当日の"ちょうどいい"ウォームアップ例
※ここは「研究の傾向+現場で再現しやすい形」に落としています。
50〜100m(短距離)向け:疲れないアップ
- 400〜600m らくに泳ぐ(フォーム確認)
- 25m×4〜6本(少しずつ速く)
- 15m〜25mのレースペース刺激を2〜4本(休み長め)
- そのあと"冷やさない工夫"へ
PAPE(活動後増強効果)— スタート直前の「ひと刺激」
短距離スイマー向けの追加テクニックとして、PAPE(Post-Activation Performance Enhancement、活動後増強効果)があります。
Đurović et al.(2022年)の研究では、ウォームアップの最後に短時間の高強度運動を入れることで、スタートパフォーマンスと下肢パワーにプラスの効果が報告されています FACT。
具体的には、ウォームアップの最後にスクワットジャンプを3〜5回(疲れない程度で)、レースの10〜15分前に行います。
ただし注意点もあります。
- 効果には個人差がある — すべての選手に同じ効果が出るとは限りません
- タイミングが重要 — 刺激からスタートまでの時間が短すぎても長すぎてもダメ
- 必ず練習で試してから — いきなり本番で使うのは避けましょう
50〜100mのスプリンターで、スタートの爆発力を高めたい方は試す価値があります。
200〜400m向け:動きを作るアップ
- 600〜1000m(泳ぎながら体温アップ)
- ドリル少し(力を抜いて)
- レースペース刺激(短め)を数本
- 休憩 8〜20分(人によって調整)
800〜1500m向け:呼吸とリズム重視
- 800〜1200m(一定リズム)
- 50m×数本でテンポ合わせ
- レースペース刺激を少し
- 休憩 8〜20分
一番の落とし穴:「アップ後の待ち時間で冷える」
研究レビューでは、待ち時間(トランジション)を短くできるとパフォーマンスが良くなる可能性が示されています。FACT
また、上着などで体を温かく保つ工夫(加温ウェアなど)でタイムが良くなる可能性も示されています。FACT
冷えないための超シンプル対策(誰でもできる)
- アップ後すぐに 上着・ズボン・靴下
- 立ちっぱなしにしない(軽く動く)
- 招集所(コールルーム)でできる"動き"を決めておく
中学生・高校生に刺さるポイント
- アップは「やればやるほど速い」ではない。FACT
- "緊張で力む人"ほど、最初のゆっくりが大事。
- いつもと違う会場だと冷えやすいので、上着は強い味方。
マスターズ(大人・高齢)に刺さるポイント
- 体温が上がりにくい人が多いので、短距離でも「少し長め」のアップが合うことがある。
- ただし、きつくしすぎると本番が動かない。
「温める」と「疲れない」を両立。
FAQ
アップ後は何分休めばいい?
研究では8〜20分が提案されることがありますが、会場事情で変わります。冷えるなら対策を足すのが現実的です。
ストレッチは必要?
体が固い人は"軽い動きのストレッチ"は有効なことがあります。長い静止ストレッチは人によって合わないこともあります。
アップなしで速く泳げる人もいますが?
います。だからこそ"個人差が大きい"分野です。自分のベストパターンを記録で作るのがおすすめです。
出典一覧
- Czelusniak, O. et al. (2021). "Effects of Warm-Up on Sprint Swimming Performance: A Systematic Review." Sports (MDPI). PMC: PMC8544352
- Neiva, H. P. et al. (2014). "Warm-up and performance in competitive swimming." Sports Med. DOI: 10.1007/s40279-013-0117-y
- McKenzie, M. R. et al. (2022). "Swimming performance, physiology, and post-activation performance enhancement following dryland transition phase warmup: A systematic review." PLOS ONE. DOI: 10.1371/journal.pone.0273248
- Cowper, D. et al. (2022). "Passive heat maintenance strategies between warm-up and performance: systematic review & meta-analysis." Sports Medicine - Open. PMC: PMC9375923
- Đurović, M. et al. (2022). "Effects of post-activation performance enhancement warm-up on swimming start performance." Scientific Reports. DOI: 10.1038/s41598-022-13003-9 [CLM-171 supporting]