泳ぎの科学(E2)シリーズの読み方:1本の研究を正しく読むための3つのチェック
結論
E2記事は「この研究ではこう出た」という1本の論文の知見です。FACT すぐに全部を信じるのではなく、サンプルサイズ・対象者・効果の大きさの3つをチェックして、自分に当てはまるかを判断するのがコツです。
E2記事は、査読(さどく)を通過した1本の論文に基づいて書いています。
E1(メタ分析/系統的レビュー)と違い、「1つの研究チームが出した結果」がベースです。
査読付き論文って何?
- 研究者が論文を学術誌に投稿する
- 同じ分野の専門家(査読者)が内容をチェックする
- 問題があれば修正を求められ、合格した論文だけが掲載される FACT
つまり「素人が好き勝手に書いた」ものではなく、プロのフィルターを通過した情報です。
E2でも"鵜呑み"にしない理由
1本の研究は、次の理由で結果がブレることがあります。
- サンプルが少ない:10人だけの実験は、100人の実験より「たまたま」が起きやすい FACT
- 対象者が偏っている:大学水泳部の男子だけで調べた結果が、小学生やマスターズにも当てはまるとは限らない FACT
- 再現性の問題:同じ実験を別のチームがやると、違う結果が出ることもある FACT
だからE2は「参考にする」のが正しい付き合い方です。
E2記事を読むときの3つのチェック
チェック1. サンプルサイズ(何人で調べた?)
- 10人未満 → 傾向はわかるが断定は難しい
- 20〜50人 → 水泳研究としては標準的
- 50人以上 → かなり信頼できるデータ
水泳の研究は、テニスやサッカーに比べて対象者を集めにくいため、20〜30人規模が多いです。FACT
チェック2. 対象者(誰で調べた?)
以下を確認すると、自分に当てはまるか判断しやすくなります。
- 競技レベル:エリート選手? 大学生? 初心者?
- 年齢:ジュニア? 成人? マスターズ?
- 性別:男子のみ? 女子のみ? 混合?
チェック3. 効果の大きさ(統計的に有意 ≠ 実用的に大きい)
「統計的に有意」と書いてあっても、実際の差がごくわずかなこともあります。
- 統計的に有意:偶然ではなさそう、という数学的な判定 FACT
- 実用的に大きい:レースで体感できるレベルの差
例:「平均0.02秒の差があり、統計的に有意」→ レースでは体感しにくいレベルかもしれません。
記事ではできるだけ「どれくらいの差か」を具体的に書くようにしています。
E1とE2の違い
| E1(メタ分析) | E2(単独論文) | |
|---|---|---|
| ソース | 複数の研究を統合 | 1本の研究 |
| 信頼度 | 高い(平均的な傾向がわかる) | 中程度(1回の結果) |
| 強み | 全体像が見える | 最新の発見がわかる |
| 弱み | 古い研究も含む場合がある | 再現されていない可能性 |
E2は「最新の研究成果をいち早く知れる」のが最大のメリットです。
E1がまだ存在しないテーマでは、E2が最も信頼できる情報源になります。FACT
FAQ
E2の記事はE1より信頼できないのですか?
「信頼できない」のではなく「確実性が少し下がる」です。E1は複数の研究の平均なので安定しますが、E2は1本の研究結果なので、今後の研究で覆る可能性があります。ただしE2には最新の知見が含まれる利点があります。
p値って何ですか?
「この結果が偶然で起きる確率」を示す数字です。p < 0.05(5%未満)なら「偶然ではなさそう」と判断します。FACT ただしp値が小さい=効果が大きい、ではないので注意してください。
E2記事の内容を練習に取り入れても大丈夫?
基本的には大丈夫です。ただし、安全面の確認(ケガのリスクはないか)と、1つずつ試すこと(EP-G001の「5つの約束」参照)を守ってください。
出典一覧
- Greenhalgh, T. (1997). "How to read a paper: Getting your bearings (deciding what the paper is about)." BMJ, 315(7102), 243-246. DOI: 10.1136/bmj.315.7102.243